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芥川先生が凄過ぎて僕は桃太郎が書けない

 

 

 

 

おとといこんなツイートしたんですけど、とんでもない。

 

身の程を知れ!

 

ブログ始めて2ヶ月も経ってないくせに、ったく、ビギナーはうぬぼれるんですよ

 

上を見ろ上を。すげぇ奴等がゴロゴロいるんだから。

 

過去の自分にそう聞かせてやりたいです。

 

はい、

 

では、本題に入るんですが、その前にこの記事の内容は

 

芥川龍之介の桃太郎が面白すぎる。

 

という一文に要約できます。

 

いやぁ、まいった。

 

まずは僕の書こうとしていた桃太郎の構想をさらします

 

おとといの時点では本気で桃太郎のパロディーを書こうと思っていたのです。

 

その動機はツイートみたいな意識高い系イキりみたいなのじゃなくて

 

ちょー面白い発想思いついちゃったんだけど、俺って天才じゃね?

 

といううぬぼれなんですね。

 

で、そのちょー面白い発想とやらは、

 

皆が知ってる桃太郎は桃太郎を賞賛してるけど、逆に鬼かわいそう的な感じにしたら面白くね? なんというコペルニクス的転回だ! 森見ますおは万世一系の天才にして侵すべからず! 新規性意外性、共に100点満点。即刻書くべし

 

残念、自分の思いついたことなど、大体誰かがすでにやっているんです。

 

 

鬼かわいそう的視点、芥川先生がすでにやっている

 

それでは引用

 

鬼が島は絶海の孤島だった。が、世間の思っているように岩山ばかりだった訣(わけ)ではない。実は椰子の聳えたり、極楽鳥の囀ったりする、美しい天然の楽土だった。こういう楽土に生を享けた鬼は勿論平和を愛していた。いや、鬼というものは元来我々人間よりも享楽的に出来上がった種族らしい。

 

うわあああああ

 

やられたぁぁぁぁ

 

しかも、鬼、平和を愛していたんかいwwwwwww

 

そりゃ、桃太郎に攻められたら可哀想すぎるwwww

 

僕もここまでコペルニクス的な転回をしようとは考えていませんで、

 

完全に芥川先生に敗北した形になります。

 

ああ、南無阿弥陀仏...

 

しかし、芥川先生の追撃はさらに強烈なものでした。

 

突っ込みどころを的確に突っ込んでくる!!

 

桃太郎のお供、犬猿雉、の性格は三者三様、みんな曲者で人間臭いところが面白いんですが、特にこのエピソードが印象的

 

欲の深い猿は円い眼をした。

「宝物? へええ、鬼が島には宝物があるのですか?」

「あるどころではない。何でも好きなものの振り出せる打出の小槌という宝物さえある。」(森見注:桃太郎のセリフ)

「ではその打出の小槌から、幾つもまた打出の小槌を振り出せば、一度に何でも手にはいる訣ですね。それは耳よりな話です。どうかわたしもつれて行ってください。」

桃太郎はもう一度彼等を伴に、鬼が島征伐の途を急いだ。

 

こういう、みんなが一瞬思ってやめる様な事、さりげなく全部回収していくんですよね。

 

それがみんな秀逸で、電車の中なのにニヤニヤしていました。完全に怪しい若者。

 

しかしながら、芥川先生はこんなギャクだけで済ませるお方ではありません

 

含蓄が深い

 

オヤジギャグに限りなく近いような先ほどの例だけでなく、考えさせるような深い内容も多く芥川龍之介の人間としての広がりを感じます。

 

鬼のセリフを引用しましょう...

 

「お前たちも悪戯をすると、人間の島へやってしまうよ。人間の島へやられた鬼はあの昔の酒顛童子のように、きっと殺されてしまうのだからね。え、人間というものかい? (中略) ・・・男でも女でも同じように、嘘はいうし、欲は深いし、焼餅は焼くし、己惚は強いし、仲間同士殺し合うし、火はつけるし、泥棒はするし、手のつけようのない毛だものなのだよ……」

 

ああ、先生は人間というものをこのように観察しているのですね。

 

書きながら先生も悲しかったのでしょうか?

 

ああ色即是空空即是色。

 

まとめ

 

このようなものを読んでしまっては、僕は到底桃太郎を書く気にはなれません。

 

せめて皆さんには芥川龍之介の桃太郎を読んでいただきたい! そう思って紹介させて頂きました。

 

いかがでしょうか。

 

ちなみに芥川龍之介の作品は著作権が切れていますので、無料で読むことができます。

 

以下のリンクは青空文庫に飛ばしてありますので是非どうぞ。

 

芥川龍之介 桃太郎

 

画面で文章読むのが苦手な人は、こちらの岩波文庫をどうぞ。(有料ですが)

 

 

 

2017/6/25 森見ますお