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書評『論文の書き方』:文章力を上げる最強の練習法

ずいぶん古い本を紹介する。

 

初版は1959年で、メートル法が実施された年だそうだ。よくわからない。

 

本のタイトルは『論文の書き方』、岩波新書1959年。

 

著者の清水幾太郎は日本の社会学者である。

 

彼の文章の明晰さは広く知られていたという。

 

そんな清水氏が書き下ろすこの著作は、文章力向上のための秘伝の書と言えよう。

 

ふと、この本に惹かれた

僕がブログを日夜更新し続ける原動力は

 

様々な知識を得て、上手な文章で伝えたい!

 

という気持ちだけである。

 

その気持ちが強く働いたからか、ふと書店でこの新書を買おうと思ったのである。

 

どうすれば文章力が上がるのか

もちろんそれは、この本に書いてあるテーマそのものである。

 

そのうち僕の心に刺さったものだけをピックアップしていこうと思う。

 

書物を読んで人に紹介せよ

清水氏いわく、

 

読んだだけでは、内容は身につかない。

読んでいる途中はわかったつもりでも、時間が経つとその内容は蒸発してしまう。

だからその内容を自分の手で表現し、人に伝えよ。自分が著者になるのだ!

書いて初めて、内容が自分のものになるのじゃあ!!

 

なるほど、説得力がある。

 

しかし、これだけが文章力向上のための条件とは思えない。

 

すると、本にはもう一つの条件が記されていた。

 

文字数を制限せよ

前述の紹介文は「1000字以内」などと制限をつけるのが良い、とあった。

 

え、たくさん書く練習をした方が良いんじゃないの? と僕は思ったのだが、すぐ後の記述が刺さった。

 

...狭い土俵があってこそ、相撲の技術というものは磨かれるのだ...土俵が狭いから負けたので、土俵がもっと広ければ勝ったのだ、というのはナンセンスである...画家は画布に描かなければならない。...画布は小さいもの、限りあるものである。画家はこの小さい世界に大自然を写し取れねばならない。いや大自然を写し取るのではなくて、小さな画布の上に自分で大自然を想像するのである。文章もこれと同じことで...

 

座布団を10枚くらい持っていかれた。

 

とんでもない文字数の原書を1000字にまとめるという時点で、その内容を凝縮する必要があるのである。

 

その凝縮の過程で文章力というのは切実に必要なのだ!

 

そしてこの一文を書き終わった時点で954文字も使ってしまった。

 

 

残りは46文字。どうやって使えば良いのだろう。

 

完全敗北。僕の文章力はまだまだなのである。

 

 

 

2017/5/26 森見ますお